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不動産の証券化の広がりと民間銀行の長期固定金利住宅ローン
2002年を展望する(FPジャーナル新春号より)


東京FPコンサルティング株式会社代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
心理カンセラー
紀平 正幸氏

一層拡大される証券化市場

1970年代の抵当証券や1980年代後半の不動産小口化商品に始まったわが国の証券化も、1998年のいわゆるSPC法(資産の流動化に関する法律)で発行主体を金融機関のみならず一般の事業会社にまで広げ、対象資産を不動産も含める証券化も可能とした。
 さらに2000年のSPC法の改正により証券化を行うために使い勝手のよい法的基礎の環境整備が急ピッチで進められた。
 こうして2001年には、わが国でも初めて不動産投信が東京証券取引所に上場されたことから、それまでは機関投資家向けの証券化が、一般の投資家にとってもにわかに身近な金融商品となり注目されるようになった。

続々と登場する不動産投信

  2000年9月に東京証券取引所に初めて上場された不動産投信の2銘柄の取引は、売買代金が1日平均3億〜5億円程度と比較的堅調となっている。
 米国の同時多発テロ事件で日経平均株価が1万円割れした局面でも安定的 な価格を保っており、ディフェンシブ銘柄としての認知度が高まりつつある。
 直近の配当利回りは4%後半〜5%前後となっていて10年国債利回りに3%以上のリスクプレミアムを上乗せした水準となっている。一般の株価水準からみると利回り株の代表である東京電力(約2%)よりも高い。しかし不動産投信の投資尺度が定まっていないため現在の価格水準がフェアバリユーといえるのか明確ではない。
 比較的安定した高配当の金融商品だけに、ポートフオリオの収益性商品として定着 する日も近いと思われる。
 
 2002年に上場が予定される不動産投信の特徴として3点がある。
@広がる投資対象       
 2002年の上場予定は多く現在金融庁から認可を受けた運用会社は8社となっている。 投資対象は上場2銘柄がオフィスビルに限定したのに対し、商業施設や賃貸任宅、ホテルなども含めた幅広い種類になっている。
A広かる取引市場       
 2002年にはジャスダック(店頭)や福岡証券取引所でも不動産投信が上場される。ジャスダック市場では組み入れる資産の種類を広げるなど東京証券取引所よりも上場基準を緩和し、運用者の自由度を高める方針となっている。
B商品の難しさとFPのアドバイス
 証券化は日本では不良債権問題を解決する特効薬としての期待が大きかっただけに証券化の本質を理解するのが困難である。特に不動産の特性を持った不動産投信はほかの金融商品と異なる難しさがある。 それだけにFPとしてはクライアントに適切なアドバイスができるよう情報、データの分析や関連知識の習得が欠かせない。

証券化の手法を取り入れた民間の長期固定金利住宅ローン

  2001年には民間のグッド住宅ローンが「証券化」の手法を取り入れて、 公庫融資や年金融資の独壇場だった長期の固定金利ローンを実現した。
 住宅ローンの証券化は貸出債権を証券にして生命保険会社などの機関投資家に売却することで資金を調達する。証券化のメリットは借り手が債務不履行に陥った場合や金利が上昇した場合のリスクを投資家に分散できるので長期の固定金利の住宅ローンが実現できる。
 住宅金融公庫では現在「住宅ローンの証券化」を検討している。民間金融機関が長期の固定金利住宅ローン業務を拡充できる環境を整えるのが狙いで、2003年の業務開始をめざす。これは民間の金融機関が保有する住宅ローン債権を特定目的会社が買い取って証券化し、機関投資家に売却する際に、住宅金融公庫が元本と利払いを保証しようとするものである。
 米国ではFNMA(ファニーメイ=米国財務省・住宅都市開発監督下の民間法人で抵当ローンの買取機関)やGNMA(ジニーメイ=米国の連邦機開・住宅都市開発省の一部門で政府の保険や保証がついた民間住宅ローンを担保に発行される不動産担保証券の元本と利息の支払いを保証する機関)といった証券化をベースにした住宅ローンが定着している。
 2002年には、いよいよ日本でも証券化による銀行の長期固定金利住宅ローンが誕生することになろう。
2002-01-03.THU
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