東京国税局が1日発表した2019年の路線価(1月1日時点)によると、千葉県内は前年に比べて1.0%上昇した。6年連続で値上がりし、上昇率は前年の0.7%を上回った。船橋市や市川市など人口増が続く県北西部で土地の需給が逼迫し、上昇ペースが加速している。一方で外房地域や県南部は下落や横ばいで推移し、格差は一段と広がっている。
県内の最高路線価は船橋市の「船橋駅前通り」で1平方メートルあたり182万円だった。船橋駅前の土地が県内トップとなるのは6年連続(14年は柏市の「ハウディモール」と同額首位)だ。前年に比べて19.7%値上がりし、上昇率も県内で最高だった。
人口増が続く船橋市はオフィスや店舗の需要が高まっているのに対し、新築ビルはきわめて少ない。米系不動産サービス大手のCBRE(東京・千代田)は「空室が払底し、一部のビルでは入札形式の募集が行われている」と指摘する。限られた物件をめぐる争奪戦が激化し、需給の逼迫感を強めている。
船橋駅前では18年2月に西武百貨店が閉店したが、跡地では超高層マンションを核とした再開発構想が進む。駅周辺の人口がさらに増加し、地価を一段と押し上げる可能性もある。
県内で上昇率が2番目に高かった市川市の「本八幡駅前通り」は都内への交通アクセスに優れており、周辺では超高層マンションの建設が相次ぐ。駅北口では新たな再開発計画が進んでおり、地域の活力が高まっている。県都・千葉市の「千葉駅前大通り」の路線価は県内で4番目だが、18年6月に全面開業した駅ビル「ペリエ千葉」の集客力も手伝い、上昇率は船橋、市川に次いで高かった。
県内に14カ所ある税務署管内のうち、最高路線価が上昇したのは船橋や市川、松戸など7カ所。成田や木更津など6カ所は横ばいだった。一方、銚子の「銚子駅前通り」は前年に比べて2.6%値下がりし、県内だけでなく、東京国税局の管内全体でも唯一の下落地点となった。
千葉県の集計によると銚子市の人口は5万9678人(19年5月)と5年前に比べて9%減っており、県内でも減少ペースの速さが目立つ。事業所数の減少傾向も続いており、土地の需要が落ちこんでいる。