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不動産権利証を廃止へ 

不動産登記電子化:代わりに識別番号を交付

 法務省は、不動産登記のオンライン化に伴い、登記完了時に所有者に発行している土地や建物の権利証(登記済証)を廃止し、十数けたの数字やアルファベットから成る電子情報(登記識別情報)を交付する方針を固めた。来年度中の実施を目指す考えだが、国民の貴重な財産がインターネット犯罪の対象になる可能性が高いため、省内からも「見切り発車は危険」と不安の声が上がっている。

 不動産登記のオンライン化は、インターネットで行政手続きが可能になる電子政府計画の一環として、昨年12月に成立した電子政府関連3法に盛り込まれ、実施が既に決まっている。売り主、買い主(司法書士ら代理人も含む)が登記所に出向いて行う現在の登記に加え、インターネットを通じて登記を完了させるシステムも導入する。本人に成りすまして虚偽の申請を行う犯罪の防止策が、焦点になっていた。

 オンライン登記では、すべてを電子情報でやり取りするため、文書の権利証を交付できない。代わりに登記が完了したら、登記所側が登記識別情報を割り当て、所有者に送信する。所有者はこの識別情報をダウンロードしてパソコンなどで保管し、転売する際はこのデータを添付してオンライン申請する。

 ネット犯罪を防ぐため、登記所からの通信は暗号化し、紛失した場合は再発行せず、郵送など別の手段で所有者確認を行う。しかし、通知の際に情報がインターネットを経由するため、法務省職員の間で「技術的には情報をかすめとることが可能。接続業者(プロバイダー)と組めば、入手の危険性はさらに高まる。完全なセキュリティシステムが構築できるのか不安」との声が出ている。

 現行の窓口申請も受け付けるが、権利証の廃止に伴い、登記識別情報が記載された通知書を発行する。第三者が通知書を入手すれば、ネット上のかすめ取りと同様、不正アクセスが可能になる。

 法務省はこうした方針を週内にも公開して、国民から意見を募集する。関係団体などからの意見聴取も経て、早ければ来春の国会に法案を提出する方針だ。

不動産登記電子化:ネット犯罪防止の努力が必要

 インターネットの利用で、登記を巡る犯罪が多発するのではないか。そんな国民の不安をどう解消するかが、権利証に代えて電子情報(登記識別情報)を発行するオンライン不動産登記の最大の課題だ。法務省は不審な申請に直面した際、登記官がきちんと確認するなどチェック態勢を強化して、ネット犯罪を防止する努力が求められる。

 現行制度では、登記官は本人と対面したうえで、印鑑登録証明書や不動産の権利証をチェックする。司法書士が代行する際は、さらに委任状の提出も求める。オンライン登記では、本人も代理人も顔を見せないまま登記作業が完了するため、犯罪者にとっては好都合だ。それだけに、最終関門である登記官の役割は重要だ。

 この点は法務省も重視し、新システムの骨子案にも審査権限の明確化を盛り込むとみられる。それでも、申請者に出頭を求めて内容を審査できるケースは▽誤った登記識別情報で多数回申請した場合▽本当の所有者が不正申請に気づき、被害届を提示した場合――などに限定され、十分な権限強化とは言えない可能性が強い。

 「政府の方針だから仕方がないが、通常、司法書士が行う登記事務をオンライン化しても、ほとんどの国民にはメリットがないのではないか」。法務省内には、そんな意見もある。

 登記申請書を偽造し、土地を勝手に転売する「地面師グループ」による犯罪は、今も多発している。「便利な電子政府」の掛け声の裏で、犯罪がさらに増え、経済の根幹である不動産登記の信用力が低下するのでは、国民にとってマイナス面だけが残る結果になりかねない。

2003-06-30.MON

毎日新聞より

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