基準地価:
12年連続の下落 東京圏は下げ止まり顕著
国土交通省は18日、7月1日現在の「03年都道府県基準地価」を公表した。住宅地、商業地とも全国平均で12年連続の下落となり、下げ幅は住宅地で4.8%(昨年4.3%)とバブル崩壊後で最大、商業地で7.4%(同7.2%)と2番目の下げ幅となった。東京、大阪、名古屋の3大都市圏で下げ幅が縮小する一方、地方の下げ幅は拡大している。
昨年、住宅地で唯一横ばいだった島根県が下落に転じたため、都道府県の住宅地、商業地はすべてが下落した。
3大都市圏の中では、特に東京圏が住宅地5.6%(同6.1%)、商業地5.8%(同6.9%)と下げ止まり感が顕著だった。住宅地で上昇・横ばいの地点が増加し、商業地でも銀座や表参道の特定地点で比較的高い上昇率を示した。
国交省は、都市再開発による収益性、利便性の向上といった土地の魅力に地価が左右される「地価の個別化」現象が今後も進行するとみている。
全国での最高価格は、住宅地が東京都千代田区五番町12の6で、1平方メートル当たり220万円、昨年比2.8%上昇した。商業地では同区丸の内3丁目14番1(東京商工会議所ビル)の同1370万円。
◇土地の“魅力”による地価上昇傾向強まる
国土交通省が公表した「03年都道府県基準地価」で、その土地の魅力次第では地価が上昇するという「個別化」の傾向がますます強まった。一方、全国平均の12年連続下落は「資産デフレ」の加速を示しており、対策が求められている。
地価が上がった特徴的な地点としては、住宅地では2.2%上昇した千葉県浦安市美浜3丁目が挙げられる。JR京葉線新浦安駅に近く、東京駅まで快速で17分と通勤の利便性がよい。隣の舞浜駅を降りると東京ディズニーランドがある。サラリーマン、主婦の「住みたい街」として根強い人気があり、地価はじりじり上がっている。商業地では東京都中央区銀座2丁目2番の明治屋銀座ビルの5.3%。中央通りを挟んだ向かい側に有名ブランドショップが進出して集客力が高まった。
一方、下げ幅が目立つ場所としては、商業地の千葉県木更津市中央1丁目で、27.2%下落した。JR木更津駅の西側で、00年7月に百貨店「そごう」が撤退、01年2月には駅東側のスーパー「ダイエー」も閉店し、商況に陰りが出ている。
地価の全国平均の推移は、ピーク時の91年の水準を100とすると、住宅地は73.0、商業地は44.9まで下落し、それぞれ87年、78年の水準に戻った。地価の下落は「土地資産デフレ」を加速させ、これまでの国民の富の損失は1000兆円に上るという。
大手不動産業、東京建物の南敬介社長は「資産デフレ構造から早く脱却することが日本経済の立て直しに不可欠で、商業地の固定資産税の軽減を含む抜本的な土地改革に緊急に取り組む必要がある」と話している。