基準地価:商業地16年ぶりに上昇 全国平均で1.0%
国土交通省は19日、今年7月1日時点の都道府県地価(基準地価)を発表した。商業地の全国平均は前年比1.0%の上昇で、バブル経済末期の91年以来16年ぶりにプラスに転じた。全国平均で16年連続の下落となった住宅地も、上昇地点が3大都市圏(東京・大阪・名古屋)から周辺府県に広がり、地価の持ち直し傾向が鮮明になってきた。ただ、多くの地方では下落傾向に歯止めがかからず、大都市圏やその周辺との間で「格差」が広がっている。
景気回復を背景に旺盛なオフィスやマンション需要が続く3大都市圏の商業地は、2年連続の上昇で、上昇率も平均10.4%と前年の3.6%を大きく上回った。利便性の高い商業地の超高層ビル周辺では上昇率が30〜40%に達している。上昇率の上位10地点は名古屋市と福岡市が独占した。また、都道府県庁所在地で今回新たに上昇地点が現れたのは11県あり、地方中心都市への地価上昇の波及を示した。
住宅地は全国平均で前年比0.7%の下落となり、前年の2.3%から下落幅が縮小。都道府県別平均では埼玉、千葉、神奈川、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良の8府県が上昇に転じた。一方で岩手、福井、高知の各県では下落幅が前年より拡大した。
また、3大都市圏では、今年前半(今年1月1日〜7月1日)の上昇率が、その前の半年(昨年7月1日〜今年1月1日)の上昇率を下回った地点が商業地・住宅地ともに目立ち、地価上昇の鈍化傾向も見られる。特に、1年間で10%以上の上昇率をつけた地点の半分以上は、後半に上昇幅が縮まっており「(急激な地価上昇に)実需が追いつかず、頭打ちが近づいている」(国交省)との見方もある。
全国の最高価格(1平方メートルあたり)は、住宅地が東京都千代田区五番町12の6が前年比17.5%上昇の315万円で、12年連続トップ。商業地は2年連続して東京都中央区銀座2の6の7の「明治屋銀座ビル」で、同33.2%上昇の2530万円だった。
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付近が全国最高の基準地価となった東京都中央区のティファニー銀座本店前。「銀座」「ティファニー」という二つのブランドが相乗効果を発揮した |
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商業地基準地価の都道府県別動向 |
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【ことば】◇基準地価◇ 都道府県が毎年7月1日時点で調査する基準地の地価。今年の調査地点は全国2万4374カ所。国土交通省が1月1日時点で調べる「公示地価」とともに土地取引の目安となる。都市計画区域外の林地なども調査地点に含まれ、地方の実情を反映しやすい。地価の指標には国税庁が1月1日時点で調べ、相続税の基準になる「路線価」もある。