千葉県が18日発表した2018年の基準地価(7月1日時点)は住宅地が平均0.1%上昇した。プラスになるのはリーマン・ショック直前の08年以来10年ぶり。全用途の平均も4年連続で上がった。商業地や工業地も上昇幅が広がり、県内の地価に底入れ感が強まっている。
県内で上昇したのは全用途の合計で301地点と、前年比で21地点増えた。一方、下落地点は276地点と前年比で9地点減少。上昇と下落の地点数が11年ぶりに逆転した。
住宅地の上昇率が高かったのは君津市や木更津市など、東京湾アクアラインに近い自治体だ。東京都内への通勤・通学も可能で、好条件の土地でも1平方メートルあたり4万~5万円台が相場。同20万~30万円台の地域もある北西部に比べて割安感が強く、若いファミリー層を中心に人気を集めている。
商業地は上昇幅が広がっている。上昇率は1.6%で、前年比で0.4ポイント伸びた。上昇率が前年を上回るのは4年連続。船橋市や市川市、浦安市など北西部で伸びが加速している。
いずれも人口増で地域の購買力や経済力が高まっているにもかかわらず、駅前の大規模再開発が遅れ気味で、店舗やオフィスのスペースは不足している。不動産サービス大手の三幸エステート(東京・中央)は北西部について「今後3年間は大規模ビルの竣工件数は低水準で推移する」とみており、需給逼迫を背景に上昇が続く可能性が高い。
工業地も平均2.0%上昇と6年連続で値上がりした。県内で上昇率が最も高かったのは野田市はやまの11.3%。全国の工業地でも6番目に伸び率が高く、東京圏でトップとなった。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)のインターチェンジ(IC)に近く、昨年2月に茨城県内区間が開通したことで北関東や東北へのアクセスが向上した。
東京外郭環状道路(外環道)の沿道も、6月に千葉県内区間が開通した効果が表れ始めた。市川市や船橋市など湾岸部の工業地は3~5%と、県内平均を上回る伸びを示した。外環道に接続する常磐自動車道沿いでも、柏IC近くの柏市新十余二地区が4.5%上がった。
一方、南部や東部は地価の下落が続く。房総半島の東側や南端を中心とする「地方圏」では下落地点が134地点に上り、上昇(15地点)を大きく上回った。地価の地域間格差は一段と広がっている。